【ざっくり解説】デジタル化と比べてわかるDX

あちこちの広告にDX(digital transformation)という言葉が飛び交い、僕の周りにはDX推進担当などの肩書を持つ方も見かけるようになりました。しかし、”DX”という言葉で表すコトは使う人によって様々あるように見えます。

特にデジタルやITが不得意な層には『DX』という言葉を魔法のように使われて困ることがあるので、自分でもざっくりと語れるようにDXの説明を考えました。結果、僕はDXをデジタル化との比較から次のように整理しました。

  • デジタル化:ITを使って個人や組織単位で業務を最適化すること
  • DX:ITを使って社外との業務を最適化すること

どちらも”ITを使って業務を最適化すること”という点は同じで、違いは最適化するスコープ(範囲)です。なお『業務を最適化する』は、ある業務を人+コンピューターで最も合理的に行える状態をイメージしてください。

目次

DXの定義

まずは、お約束の国が定めた定義を確認します。経済産業省は、デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)でDXを以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

経済産業省『デジタルガバナンス・コード2.0』(旧DX推進ガイドライン)

“ビジネスモデル”や”業務そのもの”とある通り、具体的なコトではなく、抽象度が高いコトを対象としてることがわかります。ただ、これだけでは、よくわからないと思います。

社内業務を最適化

個人ごとのPC活用→組織でデータ共有

僕は2000年代前半に就職しましたが、その時はすでに1人1台のPCが与えられていました。PCの用途は主にメールと書類作成で、書類は印刷して使いました。PCがない時代は電話やFAXと手書きの書類で業務を進めていたはずなので、PCは個人の業務効率を大きくあげたはずです。

その後、組織(企業、部署)内でデータが共有できるようになると、すべての書類を印刷する必要がなくなります。印刷にかかる手間やその回覧、プリンター用紙の節約など、組織内で効率化が進みました。

デジタル化とは

ここまでの話を図であらわすと以下のようになります。

これがデジタル化で、最初に書いたように個人や組織単位で業務が効率化します。ただ、デジタル化のスコープは社内にとどまり、社外(顧客や取引先)とは変わらずメールや紙の書類でやり取りしていました。

社外との業務を最適化

クラウドの発展→社外との接点の発生

2010年代半ばごろからは、クラウドの発展により社外(顧客、取引先)との関係性が変化するケースがでてきました。

例えば、顧客の好みで色や素材を選んで注文できる商品があったとします。これまでは店舗に行って注文書に記入して店員に渡します。店員は注文書の内容を工場に伝え、工場は不足した部品や材料があれば取引先に注文します。注文してから手元に商品が届くまで3か月かかりました。

これがクラウドを経由することで、Webから注文された情報が工場と取引先へ同時に送られ、その結果リードタイムが大きく短縮できて2週間程度で商品が届きます。

DXとは

ここまでの話を図であらわすと以下のようになります。

これがDXで、最初に書いたように社外との関わり方が効率化します。そして『DXの定義』でふれた通りビジネスモデルが大きく変わり、トランスフォーメーション(変革)につながることが実感できるのではないでしょうか。

DXは誰がやるか

企業が本気でDXを目指すなら、社員を『DX推進担当』に任命するのは無理があります。ここまでで説明した通り、(デジタル化ではない)DXはビジネスモデルをがらりと変えるため、経営者にしか進められないはずです。

経営者はデジタルが不得意などと言ってられる状況ではありません。インターネットには無料で良質な教材がたくさんあるのでいくらでも機会はありますし、僕もそういう前向きな経営者をお手伝いしていきたいので、ぜひご連絡ください。

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この記事を書いた人

中野 裕のアバター 中野 裕 なかの情報技術 代表

なかの情報技術代表・ITコーディネータ。2002年に上京。多数の金融機関でシステム開発を経験した後、札幌にUターンして独立。経営管理(管理会計)、受注管理、購買管理、工場等の設備管理など、独立後は広範囲の案件に携わる。「ビジネスとITをつなぐ」ために、両者のコミュニケーションギャップを解消するため走り回ることも多い。

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