【そのデータは”使える”か】スプレッドシートで再利用性の高いデータ管理のポイント4つ

私は企業の様々な部門からデータを預かって活用(分析やシステムへの登録)をお手伝いしますが、適切な形式で管理されているデータを受け取ることは非常に稀です。現代経営においてデータの重要性は言うまでもありませんし、手間をかけてデータを管理する目的が活用することなのは自明なのですが、どうも上手くいっていようです。

その大きな理由がスプレッドシート(ExcelやGoogleスプレッドシートなど)によるデータ管理で、スプレッドシートは誰でも手軽に扱える反面、適切なルールで運用しないと無法地帯になります。その結果、データの活用が困難になり、手間をかけて入力したデータが無駄になることさえあります。

本記事では、スプレッドシートのデータを活用する場合に問題になるポイントと、その解決方法をお伝えします。

目次

再利用性が低いシートの特徴

まず、私がこれまで見てきた活用に適さないスプレッドシートの例を紹介します。良くあるケースではないでしょうか。

  • 結合されたセルがある
  • セルや文字の書式設定で重要な情報を表現している
  • オートシェイプに重要な情報が記載されている
  • 1件のデータを複数行で表現している

これらがあるとデータの再利用性は低下し、データが活用しづらくなります。こうならないために、日々のデータ管理で活用しやすい状態を維持することが重要ですが、このようなシートが既にある場合は活用時に解消することになります。(とても手間がかかります…)

問題の改善

前述の活用に適さない例は何が問題なのでしょうか。そして、どのように改善すればいいのでしょうか。1つずつ解説します。

セルの結合を解除する

セルを結合すると人間には見やすいので使いたくなりますが、逆に機械(コンピューター)では扱いづらくなるため、全て解除します。これにより、データ分析や情報共有が容易になります。

書式設定をクリアする

セルや文字の書式も人間には見やすいので使いたくなりますが、これも機械では扱いづらくなるため、セルや文字の書式設定は全てクリアします。もし、書式で表現している重要な情報がある場合はシートに記載します。これにより、データの可読性や再利用性が向上します。

良く見るのは、データが削除されたことをセルの色をグレーで塗りつぶしたり、文字に取り消し線をつけて表現するケースですが、シートにデータの状態を管理する項目を追加して「削除済み」などと記載して管理します。

オートシェイプを削除する

オートシェイプも便利ですが、機械では扱いづらい情報です。オートシェイプに重要な情報を記載している場合、それを適切なセルに転記してオートシェイプは削除します。これにより、データの見通しがよくなり、情報の把握が簡単になります。

1行1情報にする

1件の情報を複数行で表現している場合は、1行1情報の形に整理します。これにより、データの把握が容易になり、データ分析や整理がスムーズに行えます。なお、データと同じく項目名も1行にします。CSVに倣って項目名は1行目のみとし、複数行使うことはさけます。

これらのポイントを踏まえた上で、既存のスプレッドシートを改善し、活用していくことが求められます。

まとめ

スプレッドシートで管理されるデータの活用は重要であり、以下の4つのポイントを実践することで、再利用性の高いデータ管理が可能になります。

  1. セルの結合を解除
  2. 書式設定をクリア
  3. オートシェイプを削除
  4. 1行1情報に整理

これらを実行することで、組織内のデータ活用力が向上し、より正確な意思決定や業務改善が可能になります。さらに、情報共有がスムーズになり、チーム協力が向上し、プロジェクトの進捗が円滑に進むことが期待できます。データ活用力を高めることは、ITリテラシーやデータ分析、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの活用にもつながり、組織の業績向上に貢献できる、、かもしれません。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

中野 裕のアバター 中野 裕 なかの情報技術 代表

なかの情報技術代表・ITコーディネータ。2002年に上京。多数の金融機関でシステム開発を経験した後、札幌にUターンして独立。経営管理(管理会計)、受注管理、購買管理、工場等の設備管理など、独立後は広範囲の案件に携わる。「ビジネスとITをつなぐ」ために、両者のコミュニケーションギャップを解消するため走り回ることも多い。

目次